授業方針・テーマ |
人は身振りや言葉を使うことで何かを意味するが、これがいかにして可能なのという問題を人間の言語と動物の言語の連続性に着目しつつ追究する。特に動物シグナルに関する研究に焦点を当て、そこに潜む哲学的問題や伝統的な言語哲学における諸問題との接続について講義をおこなう。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
語哲学や生物学の哲学、シグナル理論における基本概念や考え方を習得し、自ら文献を読み進めるための素地を養う。 ゲーム理論や情報理論に依拠した簡単な数理モデルを立てて、哲学的テーゼを証明したり反証したりするための方法や考え方を学ぶ。
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授業計画・内容 授業方法 |
【講義内容】 近年、自然科学の知見や手法を積極的に取り入れながら既存の哲学的課題へとアプローチする方法論は哲学のあらゆる分野で採用されつつある(方法論的自然主義)。本講義でもこの方針を採用し、生物学的観点からゲーム理論や情報理論の道具立てにも依拠しつつ、「意味すること」や「嘘をつくこと」といった伝統的な哲学的問題を考察する。例えば、生物の擬態(mimicry)やカモフラージュ(camouflage)はしばしば「生物界における嘘/だまし」として言及されるが、これらを「嘘/だまし」として分析することのそもそもの妥当性や、これらを「嘘」として分析することが正しいとした場合、既存の哲学的見解に対してどのような含みがあるかなどを検討する。 また、動物シグナルという研究分野自体に潜む哲学的問題についても考察する。例えば、「動物シグナルとは何か?」という問題に対して、動物シグナルを研究する生物学者・哲学者のあいだで一致した見解は存在しない。このような研究遂行上の根本概念の定義に関する研究者のあいだの不一致はさまざまな分野でみられるが、動物シグナルという研究領域において、何が争点となるのかを分析・整理し、そこからどのような帰結が得られるかは興味深い哲学的問題であり、本講義のなかでもおりにふれて取り扱うことになる。
【講義の流れ(予定)】 生物学、言語哲学、生物学の哲学等の重要な文献を読み進めながらその内容を解説していく。文献の内容を理解するために必要となるゲーム理論や情報理論の基礎、進化生物学の基本的な概念等に関する講義も織り交ぜる。
第1回 導入 第2回 自然的意味と非自然的意味(Paul Grice) 第3-4回 コミュニケーションと規約(David Lewis) 第5-6回 生物界における嘘(Elliott Sober) 第7回 中間まとめ 第8-9回 生物学における動物シグナル理論(John Maynard Smith) 第10-12回 情報理論に依拠したシグナル理論と嘘の分析(Brian Skyrms) 第13-14回 シグナリング・ゲームと情報遮断 第15回 まとめ
※基本的に授業内容の変更は行わないが、実際の授業の進み具合などによっては各内容をどの回で扱うかは変更となる可能性がある。
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授業外学習 |
配布するテキストは事前に読んでおいてください。2-3回講義内容に関する簡単な理解度テストをおこないます。 |
テキスト・参考書等 |
購入が必要なものはありません。必要な文献は授業中に適宜配布します。 |
成績評価方法 |
平常点、理解度テスト(2-3回を予定)、期末レポートで総合的に評価します。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
授業前後に受け付けます。長くなりそうな場合は、日程調整のうえzoom等で個別に受け付けます。授業時にお伝えするメールアドレス宛に【学修番号・名前・相談候補日時(複数)】を書いてメールをください。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
哲学の専門科目ではありますが、トピック上その射程は言語学や経済学、生物学など多岐にわたります。他学部他学科の学生の受講も歓迎します。特別な予備知識は仮定しません。また、受講にあたって特別な配慮が必要な方は個別にメール等でお知らせください。 なお、後期月曜5限の哲学演習も動物シグナルに関する重要文献の講読をおこないます。
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備考 |
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