授業方針・テーマ |
非線形連立放物型偏微分方程式,すなわち反応拡散方程式への入門講義です.最初に反応拡散系の分類や協調系や競争系に関連する比較原理を理解する.応用として順序保存力学系の構造に基づいた定常解の安定性を示します.つぎに線形化安定性原理 を用いた定常解の安定性解析を習得します.そのための準備としてラプラシアンの固有関数展開が学習でき、Turing 不安定と呼ばれる現象を理解することができます.さらに反応拡散方程式の初期値問題における進行波と広がり波面の基礎的な考え方を学ぶことができます. |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
反応拡散方程式を解析するための基礎的な手法を習得すると共に,研究集会などで非線形放物型方程式の発展的な講演を聞いて,ポイントを理解できるようになることが到達目標です.この方面の論文を見て、執筆者が何を議論しているかが分かるようになることも目標としています.受講者は非線形放物型方程式の定性的理論にも興味をもてるようになります(専門分野の基本的な知識・理解,論理的思考力). |
授業計画・内容 授業方法 |
【授業計画・内容】 第1回 拡散方程式の導出 第2回 単独放物型方程式の最大値原理 第3回 協調系、競争系の比較原理 第4回 反応拡散系の定常解の安定性 第5回 反応拡散系の分類(協調系、競争系、捕食者・被食者系、活性化因子・抑制因子系) 第6回 力学系と相図 第7回 極限集合 第8回 リャプノフ関数 第9回 線形安定性原理 第10回 固有関数展開 第11回 非線形放物型方程式の定常解の安定性 第12回 反応拡散系の定常解の安定性とTuring不安定 第13回 単独放物型方程式の進行波 第14回 単独放物型方程式の波面の広がり速度と漸近挙動 第15回 反応拡散系の広がり波面
【授業方法】 ・講義を中心とした授業を実施するが,課題への取り組みなどを通して,総合的に授業内容の理解を深める. |
授業外学習 |
・3回程度レポートを課す. ・週3時間程度の予習・復習が必要である. |
テキスト・参考書等 |
講義資料をPDF ファイルとしてkibacoで配布します.和書では以下の参考書が講演内容と関連しています. ⑴ 反応拡散方程式,柳田 英二(著),ISBN978-4-13-062920-1 ⑵ 侵入・伝播と拡散方程式(シリーズ・現象を解明する数学),二宮 広和(著),ISBN978-4-32-011003-8 |
成績評価方法 |
レポートで評価する. |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
オフィスアワーは授業開始時に伝えるが,研究室にいるときはいつでも質問しに来ていただいてもかまわない. |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
講義資料を読んで予習ないしは復習をしておくと効率的です. |
備考 |
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