授業方針・テーマ |
本授業では、倫理学に関する概説的な講義を行います。倫理学の課題は「よく生きる」方法を模索することにあります。この課題に古代ギリシア以来多くの倫理学者が取り組んできました。本授業では、こうした倫理学の伝統において、特に重要な倫理学者や彼らの理論を紹介していきます。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
1)相対主義、利己主義といった通俗的な道徳の問題点を説明できること。 2)規範倫理学とメタ倫理学の基本的な考え方や基本理論の内容を説明できること。 3)上記の倫理学理論を用いて、「よい行為とは何か」、「よく生きるためには何が大切か」を判断できるようになること。 4)学術的な話を聞いた上で、その場でコメント・質問をできるようになること。 |
授業計画・内容 授業方法 |
(授業計画・内容) 前半では、主にメタ倫理学を主題にして、「道徳とはそもそも何か」という問いを扱います。後半では、規範倫理学へと進み、「道徳的によい行為とは何か」という問いを扱います。講義の順序と主題は以下の通りです。
第1回 イントロダクション:倫理学の問いと課題 ――規範倫理学・メタ倫理学・応用倫理学―― 第2回 倫理的利己主義:人は自分のためだけに行動すべきである。 第3回 道徳的相対主義:道徳的判断の正しさは文化や集団に依存する。 第4回 メタ倫理学(1)倫理的主観主義と情緒主義:道徳的判断は自らの態度の表明である。 第5回 メタ倫理学(2)認知主義:道徳的判断は事実に関する判断である。 第6回 メタ倫理学(3)神命説:道徳は神の命令である。 第7回 功利主義(1)功利性の原理:道徳的に善い行為とは最大幸福を促進する行為である。 第8回 功利主義(2)功利主義をめぐる様々な議論 第9回 カント倫理学(1)定言命法:道徳的に善い行為とは義務に基づく行為である。 第10回 カント倫理学(2)普遍化可能性の原理:自分だけを特別扱いしてはならない。 第11回 カント倫理学(3)人格性の原理:他人を単に手段としてのみ扱ってはならない。 第12回 カント倫理学(4)自由と道徳:道徳的帰責のために自由は不可欠である。 第13回 徳倫理学:善い性格に着目する倫理学 第14回 メタ倫理学(4)Why be Moralの問題:なぜ我々は道徳的でなくてはならないのか? 第15回 安楽死をめぐる倫理 ――日本で安楽死は許容されているのか?――
(授業方法) 配布したプリントに基づいて講義を行い、毎回の授業後にコメント・質問等を書いたリアクションペーパーを提出してもらいます。このリアクションペーパーの中で特に重要なものに対して次回の授業の冒頭で応答します。基本的に、前回のリアクションペーパーに対する応答(20分程度)+講義(60分程度)+リアクションペーパーの記入(10分程度)という形で授業を進めていきます。 |
授業外学習 |
前回の授業の内容を配布資料や各自のノートを使って、復習しておくこと。必要に応じて授業で紹介した参考文献を読んでみること。 |
テキスト・参考書等 |
テキストは特に指定しません。授業中にプリントを配布して講義を行います。興味のある学生には以下の参考書を勧めます。(1)新田孝彦『入門講義 倫理学の視座』、世界思想社、2000年、(2)児玉聡『功利主義入門――はじめての倫理学』、ちくま新書、2012年、(3)久木田水生、神崎宣次、佐々木拓(編)『ロボットからの倫理学入門』、名古屋大学出版会、2017年、(4)佐藤岳詩『「倫理の問題」とは何か?――メタ倫理学から考える』、光文社新書、2021年。 |
成績評価方法 |
リアクションペーパー20%、期末試験80%で評価します。詳細は初回の授業で説明します。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
毎回の授業後に受けつけます。その他の時間に質問・相談がある場合はメールでアポイントメントを取ってください。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
特になし |
備考 |
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