授業方針・テーマ |
倫理学は善・美・正義といった価値や生・行為のあり方を問題にする。この授業では、倫理的諸問題をめぐって格闘した哲学者、思想家の考えを紹介すると同時に、受講生と一緒に問題を哲学的に考察することをねらいとする。そうした挑戦の中で、受講生は哲学とは何か、道徳とは異なる倫理とは何かを実感と共に把握するだろう。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
・正義論の2つの立場である自由主義と共同体論の特徴を見ることから始め、プラトンの善・美・正義の考えをイデア論との関係で解説し、最後に、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を用いて、哲学・倫理・宗教の連関について考察する。(倫理観・社会的責任の自覚、異なる文化・社会への理解) ・3度のグループディスカッションを活用して、授業の復習と能動的学習の機会を提供し、対話的営みである哲学の実践につとめる。(能動的学修姿勢) |
授業計画・内容 授業方法 |
第1回 哲学とは何か 倫理学とは何か 第2回 プラトン『国家』:「グラウコンの挑戦」 正義とは何か 第3回 自由主義的人間観:ホッブズ、ロック 第4回 共同体論の系譜:アリストテレス、サンデル、和辻哲郎 vs. ロールズ、森有正 第5回 グループディスカッション(1):講義序盤の復習 第6回 「世界人権宣言」 第7回 『国家』の正義論 第8回 美のイデア、『国家』の「太陽の比喩」 第9回 グループディスカッション(2):講義中盤の復習 第10回 『国家』の「洞窟の比喩」 第11回 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』「大審問官」(1) 第12回 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』「大審問官」(2) 第13回 夏目漱石「私の個人主義」、政治と倫理・道徳(スタディシートの配布) 第14回 グループディスカッション(3):講義終盤の復習 第15回 まとめ
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授業外学習 |
・配付資料を事前に精読することは必須。 ・グループディスカッションはしっかり準備してのぞむこと。 ・授業内外での質問や学生間での議論、参考文献の調査などを通して、授業内容のさらなる理解を目指してほしい。 |
テキスト・参考書等 |
テキスト:配付資料 参考書:(1)プラトンの諸作品(岩波文庫・光文社古典新訳文庫 その他) (2)土屋恵一郎『正義論/自由論』(岩波書店) (3)ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典新訳文庫) (4)長友敬一『正義は時代や社会で違うのか』(ナカニシヤ書店) (5)森有正『思索と経験をめぐって』(講談社学術文庫) (6)ミヒャエル・エンデ『自由の牢獄』(岩波現代文庫) (7)夏目漱石『私の個人主義』(講談社学術文庫) (8)栗原裕次『プラトンの公と私』(知泉書館) (9)石川求『戦場のカント─加害の自覚と永遠平和』(筑摩選書) (10)加藤信朗『ギリシア哲学史』新版(東京大学出版会) |
成績評価方法 |
・グループディスカッション(10%×3)+試験(70%) ・グループディスカッションは授業の復習とさらなる理解を目指す。(能動的学修姿勢) ・学期末試験は、授業内容の理解を評価する。(倫理観・社会的責任の自覚、異なる文化・社会への理解)
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質問受付方法 (オフィスアワー等) |
オフィスアワー(水曜日11:00-12:30)に研究室で質問を受け付ける。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
・「ギリシャ語Ⅰ」は古代ギリシア倫理学の理解のために役立つ。 ・「西洋古典学A, B」は古代ギリシア倫理学の背景を知るのに重要。 |
備考 |
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