シラバス照会

<< 最終更新日:2024年03月21日 >>
基本情報
科目種別 授業番号 F4213
学期 前期 曜日
科目 フランス語圏文化論 時限 3限
担当教員 野村 佳世 単位数 2
科目ナンバリング
※2018年度以降入学生対象
JHH-205-1:人文社会学部専門教育科目

担当教員一覧

教員 所属
野村 佳世 人文学科

詳細情報
授業方針・テーマ 〔重要:この科目は、2018年度以降入学者は「フランス語圏文化論」、2017年度以前入学者は「フランス語圏文化論A」を履修登録すること。〕

 本講義では、現代フランス社会を理解するために、「共和主義」をキーワードに検証していく。そのために、共和主義とそこから派生する学校、ジェンダー(家族・女性の地位や子育て)、中央集権、移民に関するさまざまな問題を取り上げる。
習得できる知識・能力や授業の
目的・到達目標
・フランスの「共和主義」を研究できる
・フランスの歴史的背景( 「文脈 」) を理解し、それぞれの社会にある「文脈」(この場合は共和主義)が社会に与える影響力を説明できる
・社会ごとに異なる「文脈」があることを理解し、フランス以外の事例に分析手法として応用できる
・社会問題の原因を究明する洞察力が養われる
・各社会の構造・価値観・文化の相違を比較し、その多様性を説明できるようになる
・多様化する社会のあり方やそうした現実に、個人としてどのように対応すべきなのかを主体的に考え、行動できる
授業計画・内容
授業方法
第1回 Introduction

第2回 基礎知識―国土・人口・政治制度―
 フランスの国土(面積、地形など)、人口(都市別、人口ピラミッドなど)、政治制度(行政機構、第五共和政歴代大統領、選挙制度、主要政党など)について、日本との比較をデータを用いながら紹介する。

第3回 基礎知識―経済―
 経済の基本的な諸データを使って、フランス経済の全体像を把握するほか、労働力や失業率に関するデータを性別・地域別・年齢別・学歴別に細かく検証していく。

第4回 共和主義とは何か(リアクション・ペーパー提出予定)
 フランス革命から第五共和政までの近現代史を振り返りながら、共和主義の成り立ちと特徴、内在する問題点などを解説する。
 
第5回 学校制度と課題―概説―
 フランスの学校制度を説明し構造を理解したうえで、学歴や資格が将来に与える影響力の大きさや学校の成績と社会階層の関係、学校文化と共和主義の関係などについて分析していく。

第6回 学校制度と課題―映画『パリ20区、僕らのクラス』を題材に―
                      (リアクション・ペーパー提出予定)
 学習困難な中学校のクラスの状況から、出自・文化の多様性と共和主義に基づいた学歴基準が今日のフランス社会に妥当なのかどうかを検証する。 

第7回 フランスの家族事情―多様な家族のあり方―
 カップルや家族に関するデータを用いながら、日本とフランスを比較してフランスの特徴を把握する。また、フランスにおける家族の多様性の背景に共和主義がどのように関与しているのかも考える。

第8回 子育てと女性の仕事
 日本と異なり、「ワーキング・マザー」が多いフランス。なぜ女性の社会進出が可能になったのかについて、その背景を価値観や制度から説明する。

第9回 フランスにおける女性の地位と権利―パリテ(parité)を中心に―
                          (リアクション・ペーパー提出予定)
 前回と前々回の内容と異なり、ジェンダー格差が改善されない分野がフランスにはいくつか残っている。その代表的なものが、政治の場における女性の過少代表性(女性議員の割合・数の少なさ)である。ここでは、「パリテ」の議論を通して、フランスに残されたジェンダーの課題を考える。

第10回 共和国と地域的多様性―中央と地方の権力関係―
 政治と経済における中央と地方のアンバランスな力関係について取り上げる。ここでは、地方分権の議論を用いて検証していく。

第11回 共和国と地域的多様性―言語問題を中心に―(リアクション・ペーパー提出予定)
 文化面における地方と中央の格差の問題を地域少数言語に絞って議論する。

第12回 フランス的多文化主義への挑戦と限界
 1980年代以降、フランスは移民の文化的相違を尊重するようになった反面、共和主義的制度・価値との齟齬が意識されるようになった。今回は、そうした論争を取り上げて解説する。

第13回 「スカーフ問題」とライシテ(非宗教性)
 1989年の「スカーフ事件」をきっかけに、フランスの文化的多様性と共和主義、なかでもライシテをどう両立させるのかをめぐる議論の変遷を取り上げ、フランスの移民(イスラーム)問題を考える。

第14回 「スカーフ問題」とライシテ(非宗教性)
  ―映画『スカーフ論争ー隠されたレイシズム』を題材にー(リアクション・ペーパー提出予定)
 スカーフを被っている当事者やそれを支援する人々のインタヴューを通して、フランス側の視点からは見えない「スカーフ論争」の問題点を考える。

第15回 まとめと課題作成ー現代フランス社会に対する共和主義のインパクトー
授業外学習  時事問題に関心を寄せ、フランス関連のニュースをメディアで積極的に確認すること(週30時間)。フランス語を扱える学生は、フランス語で情報収集するとなお詳細な状況を知ることができるのでよい。また、授業後はレジュメに記載されている文献やURLなどを使って、授業中に関心を持った点を更に調べることで(週30時間)、期末レポートに備えること。
テキスト・参考書等  テキストはkibacoにアップロードするため、特に使用しない。参考書は、授業中に適宜紹介する。
成績評価方法 授業への参加度(30%)、レポート(70%)で評価する。

参加度は、議論への参加姿勢で評価する。ここには、各テーマ毎に提出するリアクション・ペーパー(5回提出予定)の評価が含まれる。

またレポートについては、内容の正確性・論理性・具体性を踏まえて総合的に評価する。レポートの内容や評価基準に関する詳細は別途、学生にプリントで知らせる。レポートの提出がなければ、単位は認定されない。
質問受付方法
(オフィスアワー等)
授業前後をオフィス・アワーとする。
特記事項
(他の授業科目との関連性)
備考