授業方針・テーマ |
ヨーロッパ古代の倫理学に関するテクストを読むことによって倫理学史における基本的な概念とその歴史的な背景を学び、また倫理学的な思考法について考える。 2024年度は、古代末期の地中海世界において、教会共同体において共有されていた聖書というテクストの解釈を土台としながら、倫理学的な探求が如何に実践されていたかを検討するため、教父(古代キリスト教思想家)アウグスティヌスが著した、4世紀末の教会共同体構成員の倫理学的な関心の実態を反映する著作である『83の諸問題について』(De diuersis quaestionibus octoginta tribus)を読む。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
現代とは異なる或いは共通する思考の現場について考えることを通して、様々に異なる考え方を批判的に検討する。そして、古代倫理学の古典的著作を読解する作業を繰り返し、テクストを分析するための基本的な技術を養う。 |
授業計画・内容 授業方法 |
【授業計画】参加する人々の理解の度合いを考慮しながらテクストを読解するので、定められた範囲を読み終えることを目標とはせず精読することを重視する。以下の授業計画はあくまで目安にすぎない。 第1回 シラバスを確認するとともに授業の方法について説明し、資料を配付する 第2–5回 『83の諸問題について』第46問を読む 第6–9回 『83の諸問題について』第47問から第50問を読む 第10–15回 『83の諸問題について』第51問を読む 第16–19回 『83の諸問題について』第52問を読む 第20–23回 『83の諸問題について』第53問を読む 第24–29回 『83の諸問題について』第54問から第55問を読む 第30回 テクスト読解のまとめ
【授業方法】この授業は、対面授業と非対面授業それぞれのメリットを考慮したうえで、二つの授業の形態を隔週に組み合わせるブレンド型授業という方式によって行なわれる。 受講者は先行する非対面授業において講読するテクストの配信を受け取った上でその読解に取り組みながら疑問点を送信する。それに対して部分的に非対面授業の時間内に回答する。そして所定の範囲を検討した訳文とともに疑問点を記入した「読解ノート」を 都立大 eラーニングシステム Kibaco 経由で提出する。 非対面授業の次週に行われる対面授業では、「読解ノート」を踏まえてテクストの分析を進めるとともに、必要に応じてテクストの論理や内容に関する解説が提供される。 非対面授業ではアプリケーション Discord を利用するとともに Kibaco を併用するので、これらを利用するための端末とインターネット環境が必要となる。対面形式で行なわれる初回授業であるガイダンスにおいて授業の形態の詳細と注意事項について説明する。 |
授業外学習 |
事前学習では、配信されたテクストについて検討を重ねる。この事前学習の所要時間の目安は30分程度とする。授業後の学習では、ノートをふりかえって疑問点を確認するとともに議論の内容について考察を進める。この事後学習の所要時間の目安は30分程度とする。 |
テキスト・参考書等 |
Kibaco (或いはそのバックアップとして教員が運営するウェブサイト)を通してテクストを配布する。授業の進度にしたがって参考文献を紹介するとともに資料を配付する。 |
成績評価方法 |
「読解ノート」を中心とした授業への貢献度の評価 50%と学期末のレポート 50% によって総合的に評価する。演習において検討したテクストの再分析等を期末の課題として設定する予定である。非対面授業への出席はKibaco 経由で提出される「読解ノート」によって判断する。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
質問はいつでも受けつけるので、担当教員のメールアドレス宛てに連絡する。メールアドレスについては初回授業時に伝える。また、アプリケーションのメッセージ送信機能を積極的に利用することが期待される。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
この授業ではキリスト教信仰と関連するテクストを検討するけれども、求められるのは対象を批判的に考察することである。また、倫理学がキリスト教神学との批判的な応答を通してその思考を彫琢した歴史的な経緯を踏まえ、古代から中世にいたる倫理学史を学ぶ手がかりを授業のなかで紹介する。 |
備考 |
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