授業方針・テーマ |
今日の経営環境においては、事業の意思決定はファイナンスを無視して行い得るものではなく、また財務的な意思決定には事業状況への深い洞察が益々必要とされている。経営戦略及びコーポレートファイナンス双方の理論を有機的に結びつけ、統合された知識に基づき、実践的な経営判断を行っていくことは、これからの経営者にとって必須の能力である。 この授業では、こうした問題意識に基づき、経営人材として必要な財務戦略、資本市場の動向とその背景の理解に主眼におき、実践的なコーポレートファイナンスの活用と、その経営戦略との関係性を考える。 具体的には、まず財務分析等の基礎を確認したうえで、経営の意思決定において必須のコーポレートファイナンスの核となる考え方を俯瞰する。それをベースに、企業の財務戦略の主要な論点と近年増えつつあるM&Aや投資家対応に関する主要な論点につき、実践的なケースを通じて考察を深める。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
企業経営と財務の結びつきを理解したうえで、以下の知識・能力を身に付けることを目的とする。①企業の実績及び企業価値を数字で具体的に理解できるようになる。②具体的な事例で資本コストの推定や企業価値の推定ができるようになる。③実際の企業の経営行動を企業価値の観点から理解・説明することができるようになる。
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授業計画・内容 授業方法 |
1 イントロダクション:企業を巡る環境変化-財務が分からなければ経営はできない 2-3. 企業価値の評価と向上(1)-財務分析と指標の意味 4-5. 企業価値の評価と向上(2)-将来予測とキャッシュフロープロジェクション 6-7. コーポレートファイナンスの要諦(1)-企業に対する期待収益率とその実現 8-9. コーポレートファイナンスの要諦(2)-最適資本構成と信用リスク 10-11. コーポレートファイナンスの実践(3)-現在価値と企業及び投資の評価 12-13. 資本政策(出資)における理論と実務-IPO、M&A、LMBO、投資ファンド、ESG 14-15. 負債政策(融資)における理論と実務-銀行借入、社債、格付、ターンアラウンド
※実例を多く取り上げながら行うため、2時限連続の講義とする。 |
授業外学習 |
授業の準備としての課題は適宜指示する。 その他、主要企業の経営や資本市場の動きに常に関心を持ち、内外メディアを通じてフォローしておいてほしい。 |
テキスト・参考書等 |
教科書 ・松田千恵子『コーポレートファイナンス実務の教科書』日本実業出版社、2017年 ・その他、各回パワーポイント等の資料をKibacoにアップするので、各自用意のこと。
参考書 ・リチャード・ブリーリー・スチュワート・マイヤーズ ・フランクリン・アレン (著), 藤井 眞理子・国枝 繁樹 (翻訳) 『コーポレート ファイナンス(第10版) 上・下』日経BP社、2014年 ・ロバート・C・ヒギンス (著), グロービス・マネジメント・インスティテュート (翻訳) 『ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版---企業財務の理論と実践』、ダイヤモンド社、2002年 ・その他、授業中に適宜指示する。
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成績評価方法 |
期末試験(レポート提出)結果、及び授業への貢献度を6:4にて評価する。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
授業前後の時間、メール等の活用いずれも可。事前にメールでのアポイントを取得することにより、随時面談も受け付ける。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
特に無し。簿記会計及び財務分析の基本が分かっていればより望ましいが、必須ではない。 本科目は、金融機関や企業における実務経験を持つ教員により行われる。 |
備考 |
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