授業方針・テーマ |
20世紀のヨーロッパ哲学における暴力の概念について一部の思想家に焦点を当てて講義する。また、その概念が現代社会の諸問題についてどのように適用されうるかについて討議を行う。出発点として比較的よく知られるハンナ・アーレントの暴力論を解説する。続いて、アーレントとは異なり、場合によっては対立する暴力の概念について、アラン・バディウ、スラヴォイ・ジジェク、ジュディス・バトラーという三人の議論を順次解説していく。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
(1) 現代ヨーロッパ哲学の古典的なテクストの一部について、意義と文脈を自ら解説することができる。 (2) 現代社会の諸問題について、ヨーロッパ哲学の概念をもちいて論じることができる。 (3) テクストの解釈とその現代的意義の考察について、自らの考えを他者に論理的に伝えることができる。 |
授業計画・内容 授業方法 |
<第一日> 第一回 授業テーマと講義の流れの説明 第二回 暴力現象の分類 第三回 20世紀半ば以降に哲学者が暴力概念を扱う際の歴史社会的文脈 *事前学修:最近の報道において暴力として論じられた現象をひとつ選び授業で紹介できるよう予習する。 *事後学修:アーレント「暴力論」引用集プリントを読む。コメントシート記入。
<第二日> 第三回 アーレント「暴力論」の主要概念と論構成 第四回 アーレント思想の体系における「暴力論」の位置 第五回 現代社会の現象をアーレントの概念によって考察する方法 *事前学修:(=第一日の事後学修) *事後学修:コメントシートでアーレント「暴力論」を用いて現代社会の現象を考察する。
<第三日> 第六回 バディウによるアーレント批判の基本的論点 第七回 バディウ『主体の理論』における暴力の概念 第八回 現代社会の現象をバディウの概念によって考察する方法 *事前学修:(=第二日目の事後学修) *事後学修:コメントシートでバディウ引用集(授業で配布)を用いて現代社会を考察する。
<第四日> 第九回 バトラーによる非暴力論の基本的論点 第十一回 バトラー『非暴力の力』における暴力の概念 第十二回 現代社会の現象をバトラーの概念によって考察する方法 *事前学修:(=第三日の事後学修) *事後学修:コメントシートでバトラー引用集(授業で配布)を用いて現代社会を考察する。
<第五日> 第十三回 ジジェク『暴力』における暴力の概念 第十四回 ジジェクによるアーレント、バディウ、バトラーの批判 第十五回 綜合討議:四人の哲学者による暴力概念の比較検討 *事前学修:ジジェク引用集(授業で配布)を熟読する。 *事後学修:最終レポートで四人の哲学者の理論を比較考察し、自らの見解を述べる。 |
授業外学習 |
各日程の事前学修として配布資料の熟読、事後学修としてコメントシートの提出を行う。事後学修は以下のとおりである。
第一日について アーレント「暴力論」引用集プリントを読む。コメントシート記入。
第二日について *コメントシートでアーレント「暴力論」を用いて現代社会の現象を考察する。
第三日について コメントシートでバディウ引用集(授業で配布)を用いて現代社会を考察する。
第四日について コメントシートでバトラー引用集(授業で配布)を用いて現代社会を考察する。
第五日について 最終レポートで四人の哲学者の理論を比較考察し、自らの見解を述べる。 |
テキスト・参考書等 |
テキストは授業内で配布する引用集プリントをもちいる。
参考文献として以下を挙げる。 『暴力 6つの斜めからの考察』(スラヴォイ・ジジェク著、青土社、2010年) 『非暴力の力』(ジュディス・バトラー著、青土社、2022年) |
成績評価方法 |
(1) 毎回のコメントシート(事後学修) 40% (2) 授業内における討議 15% (3) 最終レポート 45% |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
集中講義期間中は毎日の授業後1時間受け付けます。 最終レポートについての質問などは授業後もkibacoで受け付けます。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
特定の前提科目はありません。 |
備考 |
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