授業方針・テーマ |
こころが何かを問う哲学は、哲学それ自体を問うことの中で企てられる。哲学という知を愛し求める営みは、こころによってなされ、知との交わりを通じてこころそれ自体がよくなることを求める活動だからである。したがって、こころの哲学は、知とは何か、知の対象である存在とは何か、愛とは何か、善とは何かをさらに問うことにもなる。本講義では、以上のような理解に基づき、「心の哲学」を認識論、存在論、倫理学と関連づけて展開し、一種の「哲学入門」とすることをねらいとしている。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
・古代哲学を代表するプラトンの「心の哲学」をその認識論、存在論、倫理学との関係で考察する。(総合的問題思考力、倫理観・社会的責任の自覚) ・3度のグループディスカッションを活用して、授業の復習と能動的学習の機会を提供し、対話的営みである哲学の実践につとめる。(能動的学修姿勢)
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授業計画・内容 授業方法 |
第1回 イントロダクション:心と哲学 第2回 プラトン『ソクラテスの弁明』:魂の配慮 第3回 プラトン『ゴルギアス』(1):願望と思考 第4回 プラトン『ゴルギアス』(2):正義と不正 第5回 グループディスカッション(1):『子どものための哲学対話』(前半67頁まで) 第6回 プラトン『パイドン』:想起説 第7回 プラトン『饗宴』: エロースと〈美〉の学び 第8回 プラトン『国家』(1):「太陽の比喩」 第9回 プラトン『メノン』:想起説 第10回 グループディスカッション(2):『子どものための哲学対話』(後半68頁から) 第11回 プラトン『プロタゴラス』その他:魂の可塑性と教育論 第12回 アリストテレス『ニコマコス倫理学』:アクラシア問題 第13回 プラトン『国家』(2): 「洞窟の比喩」 第14回 グループディスカッション(3) 第15回 まとめ
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授業外学習 |
・テキスト・資料の精読は必須。予習が特に重要。 ・授業内外での質問や学生間での議論、参考文献の調査などを通して、授業内容のさらなる理解を目指してほしい。 |
テキスト・参考書等 |
テキスト:(1)配付資料(内容:プラトン『ソクラテスの弁明』『饗宴』『パイドン』(光文社古典文庫)、『ゴルギアス』(講談社学術文庫)、『国家』(上・下)(岩波文庫)等) (2)永井均『子どものための哲学対話』(講談社文庫)←教科書 参考書:(1)加藤信朗『初期プラトン哲学』(東京大学出版会) (2)藤沢令夫『プラトンの哲学』(岩波新書) (3)納富信留『プラトンとの哲学』(岩波新書) (4)松永雄二『知と不知』(東京大学出版会) (5)栗原裕次『イデアと幸福』(知泉書館) (6)伊藤邦武他(編)『世界哲学史1』(ちくま新書) (7)中畑正志『はじめてのプラトン』(講談社現代新書)
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成績評価方法 |
・グループディスカッション(10%×3)+試験(70%) ・グループディスカッションはテキストにある「対話」を議論する。(能動的学修姿勢) ・学期末試験は、授業で語られた内容の理解を評価する。(総合的問題思考力、倫理観・社会的責任の自覚)
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質問受付方法 (オフィスアワー等) |
オフィスアワー(金曜日13:00-14:30)に研究室で質問を受け付ける。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
・「ギリシャ語Ⅰ」は古代ギリシア哲学を本格的に学習するために役立つ。 ・「西洋古典学A, B」は古代ギリシア哲学の背景を知るのに必須。 |
備考 |
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