授業方針・テーマ |
本講義は人文社会学部の各教室が提供するオムニバス形式の講義です。ひとつの総合テーマについて、コーディネーター役教員の司会にそって、各学問分野の教員が各1回を担当します。「オムニバス(omnibus)」とは元来、「たくさんの人間が乗った乗合馬車」の意味ですが、本講義では、ひとつの目的地(テーマ)を目指す複数の講師から多面的なものの見方を学び、人文社会学系の知識を全方位的に開くことができるでしょう。もちろん、他学部の学生が受講しても有益な内容です。
総合テーマ「動物/人間」 「人間とは何か?」という問いに対して、これまでしばしば動物との差異が援用されてきた。「人間は政治的動物である」「人間は理性をもつ」「人間は言語を用いるが、動物は単なるシグナルを発するだけ」「人間だけが道具を製作し、使用する」「人間は社会を構築するが、動物は本能的に群れているだけ」「人間だけが道徳を洗練させる」「人間は死を経験し概念化するが、動物は息絶えるだけ」等々。人間はどの程度まで動物なのか、あるいは、いかなる点で人間は動物とは決定的に異なるのか。こうした問いによって自然と文化の境界が浮き彫りになり、また逆にその謎が深まるだろう。「動物/人間」という主題は、私たちの知の全領域──学生のみなさんが大学で学ぶ専門領域全般──を貫く重要な主題である。「動物/人間」をめぐるさまざまな問題系をめぐって、人文社会系の各分野の教員が順番にオムニバス形式で講義をおこなう。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
人間の普遍的な主題である「動物/人間」をめぐって、人文社会学部の各学問分野ならではの発想、分析方法、思考スタイルを具体的に学びつつ、「動物/人間」に関する多角的な学識を身につけます。
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授業計画・内容 授業方法 |
授業は、担当教員による講義(60分)、コーディネーター役教員(西山雄二)と担当教員との対話(15分)、受講生との質疑応答(15分)と変則的な形で構成されます。担当教員が一方的に講じる形式ではなく、講義と対話を織り交ぜたワークショップ的な仕方で授業は進められます。 4/8 ガイダンス(西山雄二・フランス語圏文化論) 木田直人(哲学)「動物に「社会」はあるか」 4/15 出穂雅実(歴史学・考古学)「生態系変化と現生人類の適応行動」 4/22 佐々木睦(中国文化論)「ユーラシアにおける熊の神話と伝承」 5/13 近藤瑞木(日本文化論)「江戸の動物小説」 5/20 金志成(ドイツ語圏文化論)「ドイツ文学における動物の表象」 5/27 高岸冬詩(英語圏文化論)「英詩と動物」 6/3 古永真一(表象文化論)「昆虫から考える」 6/10 石原正規(心理学)「ヒトの知覚・認知・行動からみた人間らしさ」 6/17 保前文高(言語科学)「脳の連続性と非連続性」 6/24 ダニエル・ロング(日本語教育学)「人間の言語と動物のコミュニケーション手段」 7/1 金侖貞(教育学)「被差別部落と識字」 7/8 石島健太郎(社会福祉学)「ヴィーガニズムと障害者運動の共鳴」 7/15 深山直子(社会人類学)「先住民と動植物」 7/22 丹野清人(社会学)「アマミノクロウサギ訴訟から考える自然保護と野生生物の擬人化」 7/29 まとめ |
授業外学習 |
前回の復習を各自でおこなっておくこと。 |
テキスト・参考書等 |
教科書は特に使用しません。担当教員によっては、プリントを配布することがあります。参考文献は講義の中で適宜紹介されます。 |
成績評価方法 |
授業への出席と参加、質疑応答、レポート課題の提出などから総合的に評価します。 単位取得には2/3の出席が必要。私語は禁止。携帯電話やパソコンなど、授業目的以外での電子機器の閲覧・使用は禁止。遅刻は15分までで、それ以後の入室は欠席扱い。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
各回の終了後に各担当教員に質問をすることができる。コーディネータ教員には以下のアカウントへのメールにより、連絡をとることができる。西山雄二:ynishi●tmu.ac.jp(●は@) |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
初回ガイダンスの際に授業の進め方を説明するので、履修希望者はかならず出席すること。特に、人文社会学部の1年生には、進路選択に有益であるという点、人文社会学部の学問分野を概観できるという点で受講することを強く勧める。 |
備考 |
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