授業方針・テーマ |
宇宙から素粒子までの様々な空間スケールで物質世界を理解するための基礎になる量子力学の基礎を、その発端となった原子レベルでの現象を中心に概説し、それに続いて携帯電話やパソコンなどのあらゆる最新の電子機器を生み出した現代物理学の考え方を学ぶ。物理学を正確に記述しようとすると微分積分などの数学が必要となるが、本講義では、数学を習得していない者でも理解できるように数式の使用を極力控えつつ、物理学における概念や考え方を講義する。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
・地球を含む宇宙を構成している物質に関する基礎的な捉え方を理解し、古典物理学から現代物理学へと変革された人類史の一端を学ぶ。 ・現代社会の基盤技術を支えている物質科学の基礎概念を理解する。結晶中の電子の多彩な振る舞いや機能を、物理的考え方にもとづいて、論理的に説明できるようになる。 ・この基本的な考え方を学び、理系の学生のみならず、文系の学生にも広くサイエンスを理解する基盤を与える一助とする。 (総合的問題思考力・論理的思考力・科学と技術の基礎理解) |
授業計画・内容 授業方法 |
この講義の前半では、力学・電磁気学・熱力学として集大成された古典物理学では説明できない原子・分子サイズのミクロな世界を記述する量子力学の基本となる事実と考え方について概観し、さらには宇宙でも同じ物理法則が成り立っていることを紹介する。続いて後半では、現代社会の基盤を支える様々な科学技術において、物質中に発現する多彩な電子の性質が利用されていることを解説する。これらの基礎的な考え方をもとに、宇宙からナノ物質への応用までの広汎な物理現象を読み解く。予定する主な内容は以下のとおりである。
第1回 序章:古典物理学と現代物理学の違い 第2回 量子の世界 第3回 波と粒:基礎方程式とその解 第4回 原子の世界:電子の挙動が世界を支配している 第5回 原子と原子核 第6回 元素の起源,ビックバンの後で起きたこと 第7回 銀河の輪廻転生と星間分子 第8回 序章:物質科学の紹介、創発と自発的対称性の破れ 第9回 スピンとは何か 第10回 スピンが関わる量子現象 第11回 結晶構造と対称性 第12回 波を使って結晶構造を見る 第13回 超伝導とは何か 第14回 超伝導と超流動 第15回 まとめ:現代物理学の考え方
【授業方法】講義を中心とした授業を実施する。授業終了後、その日の授業内容の理解度を確認しつつ、検討・考察してもらうための小テストを行い、kibacoを通じて提出を求める。
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授業外学習 |
講義で用いるスライドをkibacoに載せるので、それを参照しながら予習・復習を行うこと。また、授業に関連したレポート課題を適宜課する。 |
テキスト・参考書等 |
講義スライドは補助的な資料であり,決して教科書ではないことに注意すること。参考書は講義の中で必要に応じて紹介する。 |
成績評価方法 |
レポートおよび授業への取り組み状況により評価する。詳細は、講義の中で説明する。 なお、人文系から理工系まで受講者の基礎知識の幅が広いため、受講者全員が同じレベルの理解に達することは期待していない。故に、受講者がこれまでの人生の中で培ってきた物の見方、考え方を元に、自分自身の頭脳を駆使して理解したこと、感じたことをレポートに書くことを期待している。 総合的問題思考力・論理的思考力・科学と技術の基礎理解の観点で評価する。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
原則として金曜日2限をオフィスアワーとするが、それ以外の時間でも受け付ける.但し、必ず事前にメールで連絡をすること。担当教員のメールアドレスは授業の最初に紹介する。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
講義スライドを含む講義に関する情報をkibacoに載せておくので参照のこと。 緊急性の高い(あるいは重要な)連絡は、大学が支給しているメールアドレス(氏名@ed.tmu.ac.jp)宛のメールを用いて行うので、必ず日常的に使用しているPCまたはスマートフォン等のメールアドレスへの転送設定を済ませておくこと。
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備考 |
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