授業方針・テーマ |
通常、企業家とは、まったく新しいテクノロジーやアイデアのもとで社会変革を主導する、特殊なパーソナリティの持ち主として語られてきました。確かに、企業家のなかには、もともと特殊な技術やアイデアを有していたり、格別なバイタリティに溢れる人々がいるかもしれません。しかしながら、そのように企業家を捉えてしまうと、ベンチャー・ビジネスとは、通常のビジネス実践からはまるで乖離した特殊な存在になってしまいます。実際のベンチャー・ビジネスには、既存のテクノロジーを再利用することもよくありますし、あるいは逆にベンチャー・ビジネスをつうじて新たなテクノロジーを見出すこともあります。また、起業の動機も、しっかり聞いてみると意外なほど日常的で素朴な関心に基づいたものがそのほとんどなのです。この科目では、ベンチャー・ビジネスに関する基本的な考え方を、具体的な我が国における起業事例の検討を通じて学びます。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
この講義の到達目標は、企業家研究の基本的な理論的系譜について、先端的な企業の事例を通じて学び、ベンチャー・ビジネスに関するロジカルな分析能力を身につけることにあります。特に講義を通じて得られる知識・能力を上げれば、以下の通りとなります。
①ベンチャー・ビジネスを理解するに当たって必要な、企業家研究の理論的系譜。 ②ベンチャー・ビジネスに求められる、事業機会の認知や資源動員先の探索に関するロジカルな考え方。
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授業計画・内容 授業方法 |
【授業計画・内容】
具体的な講義については、合計15コマを、基礎編と応用編に分けて以下の通り進める。
①企業家研究の理論的系譜については、シュムペーターによる企業家論、企業家の心理学的研究、企業家の社会学的研究(ネットワーク論、文化論)といった古典的研究に加え、近年の先端的研究までカヴァーした講義を行う(全8回)。 (1)ガイダンス (2)シュムペーターと企業家研究の鍵概念 (3)企業家とネットワーク (4)企業家の正当化論① (5)企業家の正当化論② (6)企業家の競争戦略 (7)一つの完成型として組織進化論 (8)企業家概念の拡がり
②応用編では、企業家という概念で捉えられる多様な現象について、具体的な事例に基づき解説していく(全7回)。 (1)ITベンチャーのビジネスモデル (2)ネット証券会社のビジネスモデル (3)移民企業家 (4)社内企業家 (5)社内起業家を生み出し続ける組織 (6)社会企業家 (7)ライフスタイル企業家
合計15回
【授業方法】 基本的に対面での講義方式で実施します。 基礎編は通常の講義方式で行いますが、応用編はグループワークを含めた演習方式が一部含まれます。
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授業外学習 |
各講義に先立ってkibacoを通じて指定もしくは配布されたリーディングが遭った場合は、講義開始までに熟読すること。また、講義終了後に数回、小テストを実施する。
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テキスト・参考書等 |
テキスト 高橋勅徳・木村隆之・石黒督朗『ソーシャル・イノベーションを理論化する:切り拓かれる社会企業家の新たな実践』文眞堂
参考書 桑田耕太郎・松嶋登・高橋勅徳(編)『制度的企業家』ナカニシヤ出版 高橋勅徳『婚活戦略:商品化される男女と市場の力学』中央経済社 |
成績評価方法 |
ベンチャービジネスを理解するための理論的系譜の獲得を確認する期末試験(70%) 理論に基づいたロジカルなな思考力を確かめる小レポート(30%)
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質問受付方法 (オフィスアワー等) |
メール(misanori@tmu.ac.jp)にて受付を行い、日程調整を行う形で適宜、面会・相談を受け付ける。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
【他の授業科目との関連性】 経営学入門を受講済みであることが望ましい。
【講義資料について】 講義資料はkibacoを通じて配布する。
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備考 |
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